鍼灸院経営の基礎~9つのポイント~
鍼灸院を経営するということは、「治療技術」だけでなく、「経営管理」や「マーケティングスキル」も必要とされる複雑な業務でもあります。
ここでは、鍼灸院経営の基礎として重要なポイントをご紹介します。
新規開業を目指す方だけでなく、既に開業している鍼灸師もぜひチェックしてみてくださいね。
1.集客の重要性
新規患者の集客
新規患者を集めるためには、まず鍼灸院の存在を多くの人に知ってもらう必要があります。
効果的な方法として、次のような施策があります。
ホームページの作成
新規患者の集客のために、鍼灸院の詳細や治療内容を紹介するホームページを作成しましょう。
ブログ記事を書いたり、患者さんのニーズに合うキーワードを意識的にホームページの説明に入れるなどSEO対策を施すことで検索エンジンからの流入を増やします。
鍼灸院のSEO対策についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
→「鍼灸院が知っておくべきSEOの基本と実践」
SNSの活用
FacebookやInstagramなどのSNSを使って鍼灸院の情報を発信しましょう。
同じ地域のユーザーに見つけてもらうことができ、見込みのある患者さんに向けて発信をしていきましょう。
チラシの活用
チラシは地道ですが実はとても有効な集客の方法です。
特に、高齢者の方や、近所の方に知ってもらうためにもこうした手元に残る媒体はとても有効です。
チラシを作成し、ポスティング、新聞折込を活用していくことでより効率的に多くの人に知ってもらえるでしょう。
リピーターの確保
一度来院した患者さんにまた足を運んでもらうようにすることは経営の安定につながります。
どれだけ新規顧客を増やしても、リピートがない場合には一度サービスの内容や案内の仕方を見直すことも大切です。
リピーターを増やすための方法として、次のような施策があります。
顧客満足度を高める
患者さんの満足度を高めることはとても大切です。
「行ってよかった」という感動があるからこそ「また行きたい」という感情につながります。
そのためにも、丁寧な対応、効果を実感できる治療を提供し、患者さんの満足度を高めていきましょう。
フォローアップの実施
ご来院後にフォローアップの連絡を入れましょう。
「本日はご来院ありがとうございました。」、「その後いかがでしょうか?」など
当日、また時間を空けて声掛けをし、患者さんの状態を確認することで、信頼関係を築きます。
フォローアップの連絡をこまめにすることで、「あ、そうだそろそろ行かないと」と思いだしてもらえる利点もあります。
2.経営管理のスキル
鍼灸師としての技術だけでなく、経営者としてのスキルも必要です。
次のポイントを押さえることで、経営管理をスムーズに行うことができます。
財務管理
収入と支出をしっかりと管理し、「今どれくらい利益があるのか」、「あとどれくらい来院があれば売上目標を達成するのか」、「何かに予算をかけすぎていないか」などを把握することが大切です。
財務管理をすることで経営の健全化を図ります。
スタッフのマネジメント
スタッフの教育やモチベーション管理を行い、チーム全体のパフォーマンスを向上させます。
3. 治療技術の向上
鍼灸院の経営でとても大事なことの一つは何といっても「治療技術」です。
ビジネスにおけるメインサービス、看板商品になるわけですから、患者さんにとって感動してもらえる、納得してもらえるようなものであることが大切です。
鍼灸師として治療技術の向上に力を注ぐことは、リピートを増やすこと、クチコミを増やすことに直結します。
治療技術の向上のために、次のような行動をしていきましょう。
勉強会への参加
定期的にセミナー・勉強会に参加し、最新の知識と技術を学びましょう。
卒業後も学び直し、治療技術の確認をして患者さんのニーズにこたえられる技術を身に着けていきましょう。
専門書・研究論文を読む
鍼灸に関する専門書や研究論文を読み、説明をするための知識や理論的な理解を深めましょう。
鍼灸に関する研究は国内だけでなく海外でも毎年多くの論文が出ています。
情報をアップデートさせることで、新たなサービスのアイデア、医療機関との連携にもつながっていきます。
4.患者さんとのコミュニケーション
経営において重要な、顧客とのコミュニケーション。
鍼灸院の場合は患者さんとの信頼関係を築いていくことが大切です。
大切な体を預けてもらい長く通っていただけためにも、次のようなときに気を付けていきましょう。
初診時のカウンセリング
患者さんの症状や悩みを聞く「カウンセリング」はとても大切ですが、中でも初診の際にどれだけ信頼してもらえるかが重要です。
患者さんの悩みや症状を丁寧に聞き、適切な治療計画を提案しましょう。
院にくる患者さんの特性に合わせてオリジナルの問診票を作成している鍼灸院もあります。
施術中の気配り
施術を受けているときの気配りも、患者さんの信頼を得るためにはとても大切です。
患者さんは雑に扱われた時のことはしっかりと覚えています。
施術中、また手が離れるときも声掛けを丁寧にしたり、つねに患者さんに合わせて状態を確認し、リラックスできる安心空間を作っていきましょう。
こうした気配りを感じられると「また来たい」と思ってもらえます。
5.価格設定(自費)
鍼灸治療は場合によって保険適用範囲になることもあります。
保険適用にするか保険外にするかで価格が変わってきます。
患者さんに満足してもらう方法を見つけることが重要です。
自費治療をメインで行う場合には以下のような工夫が必要です。
料金設定の工夫
自費治療を提供する場合、料金設定には工夫が必要です。
地域の相場、どれくらいの需要があるか、特別な技術なのか、などサービスに応じて患者さんが納得できる価格に設定しましょう。
治療の価値を伝える
自費治療の場合、治療の効果やメリットを患者さんが納得できるよう説明をする必要があります。
なぜこの治療が必要なのか、どういう状態が得られるのか、放っておくとどうなるのか。理解をしてもらうことで治療計画や通ってもらうことの重要性を感じていただけます。
6.他社にない独自の強みを見つける
鍼灸院の数は今やかなり増えていきています。開業するエリアにも鍼灸院や鍼灸接骨院があるはずです。(競合がいないことが良いことではありません。ニーズがあることでもあります。)
新規参入の際にすでにある競合と比べて選んでもらうためにも「独自の強み」を見つけることが重要です。
治療技術・治療者の独自性
ここでしか受けられない技術、この人にしか受けられない技術を提供することで競合に負けない強みになります。
開業の際には、「これまでどんなところで働いてきたか」「何が得意か」「どれだけ勉強してきたか」「誰にも負けないものはあるか」など自分自身を振り返って言語化することも大事です。
ニーズに応える
ご来院される患者さんのニーズ・ライフスタイルに合わせた柔軟な対応ができることも大切です。
ビジネスで「ペルソナ」という表現をされることがありますが、「そのサービスを利用する典型的な顧客像」を具体的に想像し、その人はどんなことをされたら嬉しいか、どんな表現が刺さるかを分析しましょう。
7.施設環境の整備
患者さんに快適な環境を提供するためにも、鍼灸院の施設や設備を適切に維持管理することは重
要です。次のようなことに注意しましょう。
清潔さを保つ
治療院内を定期的に掃除し、いつご来院されても清潔な状態を保ちましょう。
治療備品にホコリがかぶっている、床にゴミが落ちている、といったことのないようにしましょう。
治療用器具のメンテナンス
治療に使用する器具や設備のメンテナンスは定期的に行いましょう。
患者さんの体に使う大切な治療道具だからこそ、常にメンテナンスを欠かさず、使える状態にしておきましょう。
8.法律の遵守
鍼灸院の開業・経営にはさまざまな法的な決まりがあります。
また、医療機関に通う患者さんも多いからこそ、医師法、あはき法、衛生法などの法律を理解し、遵守することが大切です。
● 法規制の理解: 関連する法規制をしっかりと理解し、遵守するための手続きを行います。
● 定期的なチェック: 定期的に法規制の変更をチェックし、必要な対応を行います。
9.自分自身の健康管理
鍼灸院の看板商品は「鍼灸師自身」です。そのため、鍼灸師自身の健康管理も長く経営をしていくためには重要なことです。
長時間の立ち仕事や手技による身体的負担を軽減するためにも、「適度な運動」、「休息の確保」をするようにしましょう。
1人治療院の場合だと、自分の異変に気付きにくい、頑張りすぎてしまうといったこともあるので
自分自身の健康管理にも意識的に実行していきましょう。
さいごに
いかがでしたか?今回は鍼灸院の経営のために必要な基礎を9つのポイントからご説明しました。
やるべきことをやり、必要な価値を提供して、安定した運営と患者満足度の向上を目指しましょう。
鍼灸院の経営に正解はありませんが、患者さんに満足してもらうことを誠実に行っていくことで、結果としてリピートにつながり、集客につながり、独自の強みを見つけていくことにもつながります。
ぜひ鍼灸院の経営でお困りの方は「メイプル名古屋」にご相談ください!